黄金週間/水町綜助
船に乗りたいといった
必ず広い甲板があることがひとつの条件だ
風はどうせめちゃくちゃだろう
期待している
うなばら!
とさけんでみたい
水たまりに浮かんだ蟻の気分になって
光は空気を透過するし
空気は光を透過するし
僕はそのすべてにぶちあたるし
そうしてどこまでかいけばいつの間にか海の色が変わって
遠くに見える島が相変わらず緑色だけれど
植物のかたちが見たこともなくて
砂の色がちがう
オレンジ色だ
砂の洞穴の中を想像するよ
その壁に小さな穴があいて
そこから真っ赤な西日が差し込む
帯になってその中に砂煙がきりふきのようだ
黄金のフンコロガシが歩いて
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