蒼ざめた太陽/結城 森士
 
かも知れない
孤独な犬の精神は
人ごみの中で蒼ざめている

努力をしない人間は
生きていても仕方が無い と
人を憎み、自分を追い詰めて
ぎりぎりで、ぎりぎりのところで
ナイフを自分に突きつけながら生きる

蒼ざめた太陽は、消えることなく彼に圧し掛かる

9月8日、太陽が真上に上がる頃
彼の歩みを認めてくれる者はない
突き付けた茨の棘を許してくれる者もいない
努力をしない人間は生きていても仕方が無い
そう言って、彼は努力だけはして生きてきた
しかし何のために努力してきたのか分からない
人を守ることも、人を許すことも知らない
彼は、自分に突き付けていたナイフを振り回す
過去の明るい太陽や
暖かい両親の愛や
幸せな家庭
幻想だ(嘘だ)
幻想だ(嘘だ)
全て

路の上の真赤な太陽の下を
蒼ざめた犬が駆けていった
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