航海日誌/んなこたーない
 
グラスが傾いて
傾いたグラスが床に落ちる
テーブルから床に落ちるまで
床に落ちるまでの一瞬間に
夜はその牙に磨きをかける
夜はその牙に磨きをかける

食用アスパラガスを添えたサラダ
が 疼く歯痛に汗を浮かべる
そして多民族の精液を飲み干す
女の浅黒い子宮を前にして
早くもぼくの意志は挫かれる
ぼくの意志は挫かれる……

溺死体を覗き込むように
ぼくを見下ろす群集に紛れて
ひっちこっくが欠伸をしている
――君たちこそが被害者だ!

燃えあがる裸像は
忽然とアフリカ大陸の闇に消えた
あの頭蓋骨が描いた夢
ごらん 数千の寝台が規則的な間隔を挟んで鉄路のうえを滑ってゆく!

ああ ぼくの金髪の少女は便器に淫らな姿態で口づける
淫らな姿態で口づける
淫らな姿態で口づける
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