ロンリーシンディとクイーン/田島オスカー
淋しいの、
いつも淋しくて、男にすがるの、でもいけないわね、
キスして、セックスして、余計淋しくなるのね、
淋しいのに、でも一度だけ満たされたわ、君と目が会ったあの日、
私なんだかすごく嬉しくって。
涙を拭う白い指 が触れたのは
僕の 頬?
ごめんなさい、こんなに近くに君がいるのね、
大人気ないって、わかっているのよ、わかってるの、でも、
ごめんなさい、こんな事言っては駄目ね、近所の奥様に知れるし、
君だってすごく迷惑よね、ごめんなさい、でも。
女は微笑んだ
美しく美しく 美しかった
美しくてしかし 何よりも悲しかった
あれから三日経って 女はどこかへ消えた
それから三年経って 僕は家を出た
愛されていたことに気付いていなかったから
僕は誰よりも愛に痺れていて
でもその代わりに 誰よりも思い出に縛られていた
あの頃はあまり流行っていなかったクイーンが
今はいろんなところで流れているよ
今なら貴女のアパートのベランダで
一目も気にせずキス 出来るよ
戻る 編 削 Point(2)