ひかりかがやく涎の海をこえて/大覚アキラ
真昼の沖に浮かべた
大きな蓮の葉のうえで
みんなが寄り添って眠る
母のない子も
子のない母も
夢を見ることのない
安らかな眠りの底で
みんなが寄り添いあって眠る
涙よりもやさしく
汗よりもすずやかで
血よりもうつくしい
この
ひかりかがやく涎の海
世界中の子どもたちの
やわらかな耳の奥の奥にある
貝殻のかたちをした器官から
子守唄の断片を拾い集めて
それを繋ぎあわせて
ひとつの曲をつくりました
聴いたことがないのに
誰もが知っているような
誰も知らないのに
聴いたことがあるような
そんな曲を
やわらか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)