恋のラヴ・ソング/はじめ
 
ん透明になって深い闇の底に落ちていくような気がした
 友人に勧められていつの間にか入ってしまった吹奏楽部で 僕はバスクラリネットを吹いている 適当に準備練習をして楽譜通りに指が動かない僕は同じパートで外の景色を見ながら練習をしている女の子に恋心を抱いている 僕はこの学校に来るのも この部活に毎日欠かさず出るのも 塾を辞めたのも この子がいるからだった 部活が終わるのは夜の6時で 雪が降っている間だけ 帰りのバス停が一緒なのだ 彼女は違うバスに乗るのだが 彼女のバスが先に来るまでの間 僕と二人っきりになる 夜の帳が降りて凍えるような寒さの中で いつも時計屋の前でジャンパーに手を突っ込んで来るバスを
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