渇く空/松本 涼
 
窓際で
君の寝息を背中に聴きながら

どう仕様も無く渇いた空を
見つめていた

形にならない雲と
伏せ目がちな太陽と

遠く飛ぶ鳥がすっかりと
吸い込まれてしまうまで

いつか君が
ふいに目を覚ます頃には

まるでそこには始めから
何も無かったような

静かに潤った夜だけが
あるのだろう

僕はその時
君の目に映った夜空に浮かんで

きっとそこには始めから
何も無かったんだと

信じられそうな
気がする


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