命と地球/
なかがわひろか
新しく命が死んで
また少し地球は軽くなり
太陽に近づく
また一つ
また一つ
また一人分
また一人分
地球は軽くなる
時折生まれる新しい命は
重しのように
浮遊する地球を
しっかと留めようとするが
新しい死のスピードに
少しずつ少しずつ
遅れを取っていく
地球が太陽に近づくとき
その日を見るのは
最後まで残った者
古い命を抱きながら
焼き尽くされる大地の上で
太陽の輝きを一心に受ける
(「命と地球」)
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