ミシガン・レリックス /AB(なかほど)
 
そんなものだって本当の記憶で
  小っちゃい真実だったんじゃないか
  机上の空論は楽しい
  それを笑って聞いてくれる優しい人が愛しい
  お父さんだったかお母さんだったか
  君も聞いてくれていた
  それだけでも僕にとっての
  真実の世界じゃないか

  あの日の

  あ、

あの日の
という言葉が増えて来ると
もう僕の記憶もおぼろげになっていて
それを不器用な手つきで
粘土で形づくってゆくように
誰かの記憶にしがみつきたがっているのだろう


  今日
  博物館に行ったよ

  そこに
  僕がいたよ





頬杖が似
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