限界/アンテ
 
った
注意するよう呼びかけたけれど
自分だけは大丈夫と思っているのか
また別のだれかがうっかりぶつかった

暗い雲が空を覆って
大粒の雨が落ちはじめた
雨粒に打たれて
仲間たちは次々と割れていった
遠いかなたに見える雲の切れ目を
ひたすらめざして
風から風に乗りかえながら
しゃぼん玉は自分を守るのに必死で
仲間たちを助ける余裕なんてなかった

急に空気が澄みわたって
しゃぼん玉は上昇気流に乗って
ものすごい勢いで昇りはじめた
空気が薄くなって
身体が膨張して
仲間のほとんどが弾けて消えた
自分自身
どこまで耐えられるか判らないのに
気休めの言葉なんて言
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