砂漠にて/はじめ
 
ないのである
 人々をこの地域で統括しているのは紛れもない 女王である その女王が殺生を許可し殺せば無駄な殺生が行われなくなると死者達は思っているのである 死者達は皆松明を持って 宇宙に蒼く染まった灰色の砂漠を照らしていた
 僕達下級兵士は城壁から身を乗り出して死者達の影が武器を持ってぞくぞくと集まっているのを見た 同僚達は毎晩毎晩恐れ戦き 戦闘心を奪われてしまう 僕は寒いのに汗を掻き 心臓の音で震えるのを感じながら弓矢を持って何時でも戦闘が行えるように準備している
 松明が投げられた瞬間に戦闘が始まった 影達は城壁の巨大な扉を打ち破ろうと大木をみんなで担いで体当たりしてきた 巨大な音と振動
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