The Doors/大覚アキラ
 
の代替行為なのか、それとも祈りか、願いか、償いか、男たちの
遠慮のない視線に晒されて、踊り子の白い肌は紅潮していく、踊り
子の右手には剣が握りしめられている、見ろ、剣がミラーボールの
光を反射して光を放つ、2回短く光って、1回長く光って、少し間
を空けてごく短く3回光る、その繰り返しだ、2回短く光って、1
回長く光って、少し間を空けてごく短く3回光る、2回短く光って、
1回長く光って、少し間を空けてごく短く3回光る、退屈だ、退屈
で仕方がないお前はとりあえず席を立ってトイレに向かう、扉があ
る、開け放たれた扉がある、扉の向こうの個室で男が二人抱き合っ
ている、男たちの荒い息遣いがトイレの中に低く響いている、床に
は脱ぎ捨てられた靴下や下着が落ちている、便器という便器はこと
ごとく詰まっていて汚物が溢れている、お前は気分が悪くなって店
を出る、店の外は土砂降りで、ピアノ線のような銀色の雨で、真っ
暗で、真っ白で、恐怖だ、恐怖そのものだ、扉がある、扉がある。
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