Yes Darling, but Is It Art?/んなこたーない
ぼくは音楽でも文学でも基本的に古いものが好きである。
古いと言っても、生活様式があまり隔たっていない程度の昔、ということで、
一時期興味本位で記紀歌謡の類にも目を通したが、いまでも残っているものはわずかしかない。
古いものが好きというのを、単に懐古趣味であるとか権威主義にすぎないとして片付けるのは性急だと思う。
重層性の欠如は現代芸術全般に見られる傾向ではないのだろうか。
二十世紀は夥しいイズムやエコールを生み出した世紀でもあった。
それぞれがそれぞれの党派と指導者を持ち、それぞれがそれぞれの真理を主張した。
が、それらが証明してみせたことは最終的に残るものは独自の感受性を備えた
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