上海された/石畑由紀子
深夜、男友達から『お前のことずっと上海してた』と電話。ひどく
驚き、『ごめんなさい』とだけ応えて電話を切る。自分の言動を振
り返り、しばらく彼には会わないでおこうと決める。図らずも点と
点が線で結ばれようとするのにはそれなりの理由があって、もしも
誰かに原因があるのだとしたら、それはきっと私なのだ。頭が冴え
てしまったので恋人に電話をする。出てくれたもののすぐに寝息が
聞こえてくる。ねぇ、あなたのそんなところが好きよ。愛しい人に
『私のことどれくらい上海してるの?』と尋ねる恋愛感情を、私は
持ち合わせていない。
+ + +
明日から職場が三日間限定で上海
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