最後のお願い/なかがわひろか
たしはなんでもあげれると信じてた
あんたになら
どんな悪いこと犯しても
なんでもあげれると思ってた
もうええよ
ごめんな
もうええから
もう十分もろたから
もうええよ
あんたを棺の中にいれたとき
それでもあたしはまだ
なんかしてやれると思ってた
ここにいる人たち全部殺したら
あんたが生き返るんなら
あたし、そうしてたかもしれん
あたしはあんたのためなら
なんでもしてあげたかった
どんなことでもしてあげたかった
もうええよなんて
聞きたなかった
なあ聞こえてるか
なあ聞いてるか
もうあたしには
何にもできへんの?
どんなお願い事でもええんよ?
なんか言うてや
(「最後のお願い」)
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