Annihilate poets!/大覚アキラ
塗りつぶされたような無が
地平線まで続く平坦な荒地を
軽やかに飛んでゆく
この
とても静かで安らぎに満ちた風景
墓石に腰掛けながら
盲いた老人が呟いた呪いのことばは
もはやだれ一人
傷つける力を持たない
墓地だ
ここは見事なまでに
墓地だ
くさった波止場のぬすっと犬は
一匹残らず保健所で処分されました
冬が来ても雨雪(あめゆじゅ)は
この国には降ることはありません
悲しみは光り輝くカナシミになって
もう汚れてなんかいません
「かんじゅせい」という名の美しい病は
天然痘のように絶滅しました
だから
ぼくはもう
衝動しか信じないのです
戻る 編 削 Point(3)