Annihilate poets!/大覚アキラ
 
塗りつぶされたような無が
地平線まで続く平坦な荒地を
軽やかに飛んでゆく

この
とても静かで安らぎに満ちた風景

墓石に腰掛けながら
盲いた老人が呟いた呪いのことばは
もはやだれ一人
傷つける力を持たない



墓地だ

ここは見事なまでに

墓地だ



くさった波止場のぬすっと犬は
一匹残らず保健所で処分されました

冬が来ても雨雪(あめゆじゅ)は
この国には降ることはありません

悲しみは光り輝くカナシミになって
もう汚れてなんかいません

「かんじゅせい」という名の美しい病は
天然痘のように絶滅しました



だから
ぼくはもう
衝動しか信じないのです

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