島 きょうかいせん/水町綜助
 
かえるどうしが陣地をとりあう激しい戦をするんだそうで
累々たるかえるの屍が積み上げられるんだそうだ
その激しさたるや
物見遊山の観客が投げ入れたへびでさえも
−へびといえばかえるの天敵です−
へびでさえも興奮したかえるの目にも映らず
無視されて
そのうえ鬼気迫るかえるたちに
その高揚に気おされ
文字通り、しっぽを巻いて逃げ出してしまうほど…らしい
そしてそのごもそれは毎年続き
三月八日にはお堀沿いに屋台なども出て観客で賑わい
一種の定例のおまつりになって続いたらしい
ずっと

見たことはないけど

だから僕がうまれたその日にも
かえるとかえるがころしあい
お堀
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