島 きょうかいせん/水町綜助
 
なことが
わからない

うみかぜが諭すからと
ふとふりかえって見る
うみぞいの町の
縁取りは錆びていて
白い欄干も
タラップも錆びて
青空駐車のセダンもバンパーから
血のような錆を流してもう止まっている

こんなかんじで
うみからの潮風は
ねつを加えて
つくられた
鉄を
赤い石にくだき
砂にする
いつか
「てつのつくりかた」を
しろい突堤に
踏みしめて
散らばる
赤さを
あかさが
粉々に
飛ばして
燐光の中に

砂つぶ


  *


波の音が数えられなかった
引いて鳴り止もうとする音を
あたらしい音が飲み込むから
つな
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