地球の生活/
佐々宝砂
いっこなし
ともかく何億年かあとに
太陽はぶくぶく膨れて地球を呑む
私はそのときまで喋り続ける予定
だから死人の声をお手本に練習中
なのだけど特に練習しなくても
私の声は日々死に続け
あなたの声は私の海馬に死屍累々
それでも私たちはまだ生きていて
おおなんという不思議
私たちはまだ生きていて
おおなんという不可思議千万なこの生活
地球が太陽に呑まれたあとも
私たちの声は宇宙を旅するのだ
戻る
編
削
Point
(15)