融雪プランクトン/鯨 勇魚
るのです。
涙なんてここにたくさんあるのです。
息荒くても海をなぐさめていた箱舟。
水温を計るなら、あたしたちほら、生きてる。
そんな涙を泳ぐ濃緑の中には、
空飛べぬペンギン。
プンタアレナスの空は低くあり、
最南端の岬。
さらにその、
境界線を持たぬ海と空。
あれは、飛んでいるのでしょう、
ペンギン。
親子だろうか。
マゼラン海峡を揺れる、ここは寂しいのです。
歴史すら知らない、あたしは風でいられず、
プンタアレナスの、ぬめりに海洋性の優しさを感じた。
空で、朝焼けで霞む、あの親子を見つけ、
この場所は寂しいと。
身体が、
受動態制をとり
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