海沿いのまち なみ/水町綜助
 
もんないよ
わかってるよ
ただ泡がふるえてるだけだよ
買ってくるよ
坂下りて
スーパーマーケットで
おりたところの

愛知県名古屋市名東区とある天国みたいな名前の町その1丁目
馬鹿みたいにちっさいアパートの
ドアを開ければ
夏の熱気がなみなみと注がれていて息も出来ない
五段くらいの短い階段を降りたら
金色に抵抗もせずに
照らされきった道路があって
一番焼けきったところに
一口含んでスプライトを垂らして
はじけて
乾いて
べたついて
そしてほっておいた

いま
蟻が歩いている

ひからびた
名前を
顎でくわえて
持っていったから
ない

季節が何個も変わっていく
炸裂する平静の中で
その白くちぎれる砂粒の中で
変わってゆく
遠く車の走る音が
繰り返し打ち寄せて
間違えて
 は消えたままで
季節が何個も変わっていく
波間で





















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