散文リハビリテーション/楢山孝介
 
に移ると、昔僕が俳句に凝っていて、一日十句詠むことを自分に義務付けていたりした頃は、花鳥諷詠客観写生にはすぐに飽き足らなくなって、だけど季語はむしろ大事にするようになって、でもほとんど空想で詠むと何だかどんどん句が痩せていって、つまらなくなって、どうしようもなくなって、「そうだ、俳句で無理やり詩的なことを詠もうとしないで、詩を書いたらいいじゃん」と気付いて、それからはもう詩作一辺倒の生活を送ることに決め、以来二十年詩を書き続けています。

 というような自伝は嘘っぱちで、句作からすぐ詩作に繋がったわけじゃなくて。俳句に凝ってる頃は詩的なことを書きたくて、詩作を始めた頃は反対に俳句的に花鳥諷詠客
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