羨望/atsuchan69
ある
「ガー、ダングードゥ」と不可解な言葉を叫んでは
怪物は、けたたましく唸るチェーンソーを真上から振り下ろす
とっさに男は転がり、空振りの回転する刃が寝具を切り裂き、
純白のやわらかな羽毛をスローモーションのように宙に舞わせた
――怪物は、かつて女の配偶者であった
生への衝動が一瞬のうちにベッドサイドの花瓶を握らせる
チェーン先端部分へ直角にそれが触れたとたん、破裂する花瓶
勢い、反動でチェーンソーが丸ごと窓めがけて飛んでいった
引き裂かれたカーテンがギシッと回転刃に巻き込まれたかと思うと
噴出す鮮血とともに煩かったエンジンが白い煙を吐きだし音を止める
花柄の遮光カ
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