Mの肖像/んなこたーない
 
 Mが自殺したという報せを受けたときのことを、ぼくは今でも克明に覚えている。実はその前日に、ぼくはとある女性と飲みに行ったのだが、その女性が恐るべきスピードで日本酒の熱燗を飲みまくるので、すっかり酔いのペースを乱されたぼくは一人だけひどく酔っ払ってしまい、挙げ句の果てにおあずけをくらうという失態まで犯してしまった。しかも、それだけならまだよかったのだが、帰り道に酔いを覚ますためと今日の出来事を反省する機会を得るために、しばらく落ち着いて休憩しようとどこか座れる場所はないかと探していたら、ちょうど公園の噴水が目に入った。今にして思えば、公園なのだからもう少し探せばベンチくらいあったに違いないのだが、
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