世界球/なかがわひろか
 
なったころ
お人形たちが世界でいろいろなことをした
お人形同士殺しあったり
勝手にグループを作るようになった
緑と青だけだった世界も
赤や黒や黄や
いろんな色が混ざるようになった

時々たくさんの人形が死んだ
そのことで泣いている人形もいた
そのことで威張り散らしている人形もいた

あたしは毎日その光景を見ていた
毎日世界が育っていくのを見ていた

そのうち
だんだん
とっても

飽きてきた

何度か人形たちは同じようなことをして
同じようなことで話し合ったり
そして同じような結果を出したりしていて
繰り返しばかりをするようになったので
あたしはついに飽きてしまった

あたしはパパに買ってもらった世界を
思いっきり蹴っ飛ばした

コロコロと世界は転がった

コロコロと世界は転がった

人形たちはその上で
まだ意味のないことを
話し合っていた

(「世界球」)
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