詩集・人生の最中に/生田 稔
らしい
書店のレジの奥さんが
パンパンと埃を払った
古くなって、ちよつとみじめになつた
のを嬉々として持ち帰った
すぐ読んでしまって、その中から
ヘンリーミラーを知った
セクサスという彼の本を次に買った
健三郎のエッセイのなかで、性的に露骨なのは
彼の影響だとほのめく
「万延元年の〜 」などはそんな風な
ちよっと、のぞいて止めたが
文芸雑誌の対談で「遅れてきた青年」を知った
不良少年が東大を出て云々
戦後特有の少年
で僕はあつたが、こんなじゃなかった
僕はチンピラやくざだった
社会の影響というよりは
次郎長伝 の映画にあこがれて
人にはそれぞれゆきかたが
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