詩集・人生の最中に/生田 稔
 
とも年寄り
なにも思わなくなって

戦争、空腹ばかり
花と食べ物、通りを歩く
両側、花がいっぱい、旅行帰り、食堂
紺のブレーザー、忘れ
電話、有ります

水仙の花、高雅さ、胸を満たし
今日、一日が始まる
空にジェツト機の音、静かな団地の朝。

 夕べに
 
 キヤンドルの小さな灯
 妻と妹がしゃべる
 ポピュラーが囁く
 散文的になりそうな詩
 空腹で続かぬ

 ジャズがなりだし
腹はくち
あまりにモダンで
詩にしにくい部屋
に妻と妹と僕
 
「大菩薩峠」をやると妹は言う
貰っちゃだめと妻
だって三十巻でタダだぜ
やっぱりだめだった

[次のページ]
戻る   Point(7)