静かな日々の階段を・・・/新谷みふゆ
檎の硬さは あたしがみつけだすもの
カーテンを開けた部屋 一日に貰うのは鳥の歌
それで充分 足りる
青空に隠れた月を知り
青いジャムを選んだ彼はブルーズも拒まない
いつまでたってもなれない手つきでふれて欲しい
なつかしいような眼をして
洗ってない 磨かれてない 林檎でいいの
彼の手が渡してくれるなら
赤い林檎の硬さは あたしが感じるもの
どんな日でも夕焼けか夕闇かが燃やしていってくれる
そして最後にキスをして
初めてあたしは今日の夜明けの眩しい光を傍に置くのだろう
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