彼の乗った船が エーゲ海で消えた/もも うさぎ
 


寒くはなかった




あたしはここで
砂の欠片が 薄白い光を浴びて 

浚(さら)われていくのを ずっと見ている


きっと ずっと 見ていることになる






彼の乗った船が エーゲ海で 消えた


とき



あたしは そばに いられた




彼が

あの深海銀河を 待ち合わせ場所に選んだのだ




















〜彼の乗った船が エーゲ海で消えた〜


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