彼の乗った船が エーゲ海で消えた/もも うさぎ
 
彼の乗った船が エーゲ海で消えた

滅多にあることでも ない



彼の乗った船が エーゲ海で消えた






遠州浜の海岸線は 遠い砂浜
波に運ばれる 白い砂と 生き物の欠片

空はいつも砂浜のように白く

ただ強い風が 鳥を 上空へ上空へと 運んでいる




彼の乗った船が エーゲ海で消えた













砂浜にはひとつの扉

ここをあければ あたしはひとりではない

あけなければ あたしは ずっと ひとりだ





{引用=扉の向こうを 覗き見たら


目の前の夜に


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