*波止場ポート/チグトセ
居た海辺の公園まで戻ると同時に噴き出して、声を上げて笑った。
「楽しかったね、キャンプ」
帰り道、原チャリの後部座席(そんなものはないが)で椎がぽつり、と呟いた。
波止場ポートにさよならを告げたのはそれからさらに一時間後のことで、その間僕たちは黙々と「キャンプ」の後片付けをした。
「わたしね、ドラえもんに一つだけ道具もらえるなら絶対後片付けロボット」
「なんでだよ。そんなん、絶対どこでもドアだろ」
さすがに疲れていたので、その話題はそれ以上広がることはなく、ゆるやかに空中に溶けていった。
「ねえ、帰ったらわたし、もう一回寝る。硬いんだもん、マットも樫の膝も」
悪かったな。
けど、同意見。俺も帰ったら寝たい。
時速二十キロの快速原動機付自転車は朝の木漏れ日の中を進む。
行き先は、俺んち。
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