*波止場ポート/チグトセ
ければならなかった。
黙って水平線を眺める。
目の前に広がる円形ステージのようなコンクリートの段は、綴れ織りのように繋ぎ合わさってゆるやかに低くなっていく。その先に海があり、埋め立て地の鉄塔があり、どこよりも早い朝があった。
そこは、空と海の境界線。
宇宙と地球の境界線。
いや、空は地球の一部だろうか。
「ねえ、空って地球なの、宇宙なの?」
と椎が言い、僕は思考を見抜かれたのかと思ってぎょっとした。
椎が怪訝そうな顔で僕の目をのぞき込んでくるので僕は今のテレパシー? と言ったら椎はますます眉をひそめて何のこと? と訊ねる。
「そうじゃなくて地球と宇宙はさ……」
どうやら通じてな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)