淡水魚/夕凪ここあ
 
花を摘んだ
小さな
嘘をついた
魚になりたい
そんなもの

月のない夜
寝返ると
水の底で
泡してる

パパも
ママも
いない
でんぐり返る
せかい

朝もやで
目が霞む
水面が
きらきら
しすぎてる
うろこ
だって

じっと
動かないで
いると
寂しさに
押し潰される
今日は
遠くまで
行こう

だって
辺りで
尖った
こわい
目玉たち

せかいの
はしっこなんて
一日で
行ける
ここは
湖だって
知ってる
わたし
かつて
おんなのこ
だったの

淡水魚

目を
丸くして
しっぽを

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