白山羊さんからの手紙/はじめ
に残っているのは遠い貴方との思い出だけ
僕は大量の涙を流しながら君からの手紙を読み終えると 封筒の裏に書いてある君の住所を見て手紙を握り締めて外へ飛び出した
何日間も汽車を乗り換えて君の国へとやって来た そして君の家を見つけノックもせずにドアを開けると美しい君は包丁で首を切ろうとしていた
僕は「留まるんだ!!」と叫び包丁を落とし頬を叩くと「僕のせいだ。頼む、許してくれ」と泣きながら言った
君は一瞬で全てを悟ったようで 大粒の涙を流し 僕に抱きついてきた
僕達はそのまま抱き合い 永遠という時間に身を委ねた 数年後 僕達は結婚し 君は昔の僕と同じように再び詩を書き始めた 毎年子供と孫を連れて彼の眠っている故郷に出向き みんなで書いた詩をお供えして神様と彼の魂に向かって深くお祈りするのだ
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