深度/朽木 裕
狭小なベッドのうえに月明かり
飲み散らかしたアルコォルの残滓
明日を闇雲に信じてやまない僕らは
同じことを考えて違う言葉を喋る
「好きだよ」
「そんなことはよく、知っているよ」
ヒカリを求めて飛ぶ虫と
ぬくもりを求めて生きる僕らと
一体何がどう違うだろう
ふらふらと這い出た世界は綺麗か汚い、か
ぬくもりを失ったらそこには何が待ち受けている、か
「口を、塞いで。此処から貴方以外入り込まないように」
ひたひたと嫌らしい夜が
くちびるによって封鎖される
入り口を見失って夜は窓辺に停滞する
朝はまだまだ来そうにない
「何処にもいかないでね」
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