月のように生まれることもなく/たりぽん(大理 奔)
 
んを守るのだと
   あの日も砂の上で

胸が波のように、迫って
裸足のままの、めまいが
私を引き倒す
髪を洗う しおからいものが
体温をすこし奪って
思い出す
生まれてきたのだということ

   そうだね、生まれてきたのだね
   あなたから
   生まれ変わるのであれば
   あなたからまた
   でもあなたは
   幸せだったと、この人生はと

息苦しくなる、それは
生まれてきた証、あなたから
もういいません、残酷な
生まれ変わりたいなどという事は
この苦しみも、憎しみも
波のようですね
砂のようですね
しょっぱいものも、生きることも
息苦しくさせる、すべてのものも
わたしを引き倒して
思い出させる
すべて

あなたから生まれた
すべて、だから



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