はつ恋/なかがわひろか
 


私はちょうど照れくさい気持ちもあったので
私を照らさない太陽が本当はありがたかったのです
そして誰にも気づかれぬ様に
昨日までの行為を思い出しながら
顔を洗い食事をするのでした

私は少しの暇ができると
一瞬で呆けた様な顔になり
あの舌の味を思い出します

私の舌はどんな味がしたのでしょう

そんなことが気になって仕方がなく
一人無表情を装うのでした

(「はつ恋」)
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