二人乗り/1486 106
 
あの頃の僕らは一台の自転車で
遠くの町まで遊びに出かけたり
毎日が冒険の連続だったね

ふざけて蛇行運転してみたり
ノーブレーキで坂を下ると
君は背中を思い切り叩くから
更にスピードを上げてみせた

口では怖いって言っていたけど
その顔は何だか楽しそうだったね

夏には山道のトンネルを抜けて
海まで旅行に行ったよね
飛沫を上げてはしゃぐ君は
太陽よりも眩しく見えた

時には警察に呼び止められて
真夜中こっぴどく叱られた事もあった
八つ当たりにもらった青い紙を
丸めて用水路に投げ捨てた

今となってはいい思い出だね
これからはそんな悪さも出来なくなる

桜並木を自転車で駆け抜ける
荷台には制服姿の君を乗せて
卒業してもまたいつか会えるから
僕は笑顔でさよならするんだ
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