空港の横/水町綜助
ら
わからないから
こんなとこに来るはめになってる
空港からごうごうと飛行機の鳴き声がする
エンジンの爆発する音が聞こえる
それで青い宇宙の襞(ひだ)がふるえて
ほらパックリと口を開けて
恥ずかしがってる
それで手を伸ばして
君の髪の毛を使って
綾をなして
とじようとしてる
燃えた髪の毛で
飛行機は何人もの乗客と貨物を乗せて
急いで飛び立つ
襞の穴をそこを目指して
頭の後ろから聞こえてきていたような轟音が
だんだんと遠ざかっていく
銀色の機体は高度を上げつづけ
小さくなって
それでひかる楔となって消えた
僕は手を振っていた
トラ柵のうえから
キイキイ鳴く上から
てをふりつづけた
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