停春/ねなぎ
 
外は柔らかくなっていくと言うのに
僕は動けずに固まっていく

東風に梅が飛ぶ気がして
顔を上げるが
青さに顰める

霞むような惑いの底で
乾く様に張り付いて
青くなり行く季節に
忘れたのだろうか

不安定な癒合が
じわりじわりと
音を立てるように
確定して動かずに
曲がって
ごつりと
噛み合わす

気が付けば節目も無く
気温しか気にしなかった

紅い匂いが
散りながら
締め付けられては
繰り返す
凝集されては濁り淀み
色を失くして
蛋白質が黒くなる

冷たい風に散るまでもなく
散らかったリン酸カルシウムが
凝り固まって軋む

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