遠くまで/んなこたーない
なぜひとはふいに空を見上げるのだろう。
休止符のような空の底から、問いだけが止まずに降り注ぐ。
ひとは空を塗りつぶそうとする。止まない哀しみを注いでみたりする。
さよならの代わりに虹を咲かせて、今日も空を見上げている。
固く結んだ唇と、固く握りしめた両方の手。固く閉じた瞳の奥から、
こぼれ落ちてくるものがある、あふれて流れるものがある。
ぼくらはそれを名づけられない。
太陽を見つめつづけるようなことはできない。
それならば、なぜ絵具になって溶け出してゆかないのか。
「われら白熱したガスコンロの悲鳴」、そのmarman、あくまで無色透明にすぎないのか。
遠くまでつづく空がある。そこには名前を持たない青がある。
止まない哀しみに濡れた身体で、ぼくは、ぼくらはその過酷さに耐えられるか。
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