泣き虫のひとりごと/蔦谷たつや
 
気分が悪い。
人の気持ちがわからない。

今日会った僕よりずっと年が上で
人生の半分以上生きた
名前すら知らない人が気に入らない。

「ひどい男でした。」

(I My ME ME MINE♪)

「そんなきれいなものじゃねえ!」

僕はそのひどい男の
名前すら知らないから気分がわるい。
僕はそのひどい男の
いやな部分しか知らないから気分がわるい。

僕は絶対に名前も知らない人や初対面の人には
年下であろうが年上であろうが、親戚であろうが
えらそうな口のきき方はしない。

けれども、それをする人がいる。
今日、それをする人を見た。
世の中にはそういう
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