線香/はらだまさる
段があるんだよ。この平和も戦争も、全部、全部値段があるんだ。日々の生活の中で、雑誌でも新聞でもネット上においても俺たちは「価値」という魔法に囚われ、全てを無意識のうちに数値化し、そしてされ、商品としてそれらを売りさばき、購入していくんだ。俺らは生まれるために、すでにお金がかかっているんだよ。おぎゃあという、その産声にも一定の金額が請求される。それをふまえたうえで俺たちがネット上で読んでいる文字に値段がないと考えているお目出度い馬鹿にはなりたくないもんだ。金額が払えないんなら、その肉体を奉仕してでも払わなきゃただの泥棒だろう。中高生の万引きじゃあるまいし、そういう奴に限って理想論をぶちまけて、権利だ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)