小さな朝/夕凪ここあ
 
凪いだ空に
鳥の群れが
海の方角に向かって
泳いでいく、朝

朝ごはんの残りのパン屑を
ほんの少し撒くだけで
海鳥ではない鳥が集まる
手のひらが
くすぐったい

高台の家から望む町
白い展望台
横一列に風車が回る
橙色の屋根の家々
海岸線に小さく船
昨日
泣いていたことも
やさしく
町の一部に溶けていく

ともだちの家のパン屋さんまで
買い物の午後
焼きたての甘い匂い
つい二週間前
大好きな男の子が
船乗りになって
行ってしまった
それからというもの
伏せ目がちなおんなのこ
ねぇ、明日は学校おいでよ

町の真ん中に
忘れられたような
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