夜の体温/朽木 裕
 
からなくなるくらいに。
泣きそうなくらいに。
狂いそうなくらいに。


「大好きだよ」


今すぐ飛んでいって抱き締めたいくらいに。
体温思い出して矢っ張り泣いてしまうくらいに。
頭から片時も離れないくらいに。


「愛しています」


夜の体温を感じながら手を繋いだら
云えそうな気がしたけれど云えなかった。


「愛しています」


いつだって私は一番に伝えたいこと云えないまま。
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