やりなおし/なかがわひろか
 
穢れを知らない自分が
清いというのが唯一の売り
本当は何もかも知っているのですが

何回も何回も
やり直しされた私の行為
してはされては修正ペンで直す限り

上乗りするあなた
とても甲斐甲斐しいと仰って
触れては壊れそうなものとして扱ってくれる

嗚呼
修正ペンが切れるのを私は人知れず畏れるのです
表層とは意外な一面を秘めていたいのですが
いつかあなたに正体が明かされる日が来るでしょう

その日まで私は偽りの上塗り

(「やりなおし」)


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