初春風/松本 卓也
だ
今日吐いた言葉の全てを
ありのまま白紙に吐き出して
三月の朝に曝してみたい
僕から解き放たれた言葉が
誰彼の生き様を通過しながら
やがて君の耳に違う声を響かせる
フィルターを通した先で
互いの心が溶けあうだろうか
ただ君の詠う声が風に跳ねるたび
一つずつ強がる意味を無くしていく
いつか君の声に調和した
僕の音を放ちたいのだ
陳列された語彙は酷くありふれて
才能の欠片も感じないけれど
君に響く声が喉を通る間だけ
我侭も裏腹も全部放り込んで
腹の底から響かせてみせようじゃないか
初春に流れる雲に乗せ
君の元へ飛んでゆけ
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