NO!/吉岡ペペロ

その三人はひと込みのなかで目をひいた
風が
少年の顔をまぶしくさせていた
連れの中年の男は
少年の父親のようには見えなかった
連れの女は
少年の姉のように見えた
かなり年の離れた姉
女の容姿は27、8歳だ
男が黒いマントの内から
一つ石をつかみ出して口元にやった
石が濃い月のように光る
少年と女が姿勢をひくくした
男はなにかを呟いて
ふたりが凝視する方角に光る石を投げた
ひと込みのなかで
NO!という叫びがたった
三人の奇妙さに
呆けたようになっていた衆人を
女がなにかを呟きながら見つめた
ゆっくりと、360度
ひと込みが
三人を忘れたかのようにながれ出す
少年は口笛をふくような感じで、NO!
ちいさく吐き捨て
先に歩きだしたふたりに駆けた
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