朝のような/ねなぎ
 
時間が確定せずに
波間に見えるブイに留まる
鴎が狙う太刀魚のような
判然としない拘りに
のた打っている

衛星軌道上を廻る零余子のような
頭痛に悩まされた寝起きに
ライターが狢のようで
上手く火が着けられない

硝子の無いステンレスだけの枠から
空は青いと言うのに
気分はハンダのようで
妙に見失い
フラックスが足りないのかも知れない

昨晩から持ち込んだ書類を読んでいると
馬の耳を煮るようなミスが見つかり
ついつい明け方まで修正していたからだろう
切り詰められたアンプのような
外からの車の音が
手の目のように神経を苛むので
余計に仕事が捗らなかった

[次のページ]
戻る   Point(0)