いい女になりたい/千月 話子
 
お花を買った帰り道
フワリフワリ良い匂いがして
とても機嫌がよろしいの
そんな私を 幾人も
羨ましげに振り返るので
いい女を気取りながら
颯爽と歩いていたらば
花を飛び交うミツバチと
しっかりバッチリ目が合った
短い悲鳴で 花を放った
勘違いな女と夜が飛ぶ・・・

待ち合わせのバーへ行く途中
ヒラリヒラリ スカートの裾揺らし
ほんのり機嫌がよろしいの
そんな私を 老若男女
微笑まし気に振り返るので
いい女を気取りながら
シャナリシャナリ歩いていたらば
ガラスに映った変な女と
しっかりガッツリ目が合った
前髪にカーラー 手で払い
勘違いな女と靴が飛ぶ・・・

癖のついた クルクル髪に
水を付けたら 付け過ぎた

これがほんとの
「水も滴るいい女」?

冗談言わなきゃやってられない
鏡に向かって 苦笑い

勘違いも甚だしいけど
こんな女(ひと)でいいかしら



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